日本分析化学会 有機微量分析研究懇談会 The Association of Organic Micro-Analysts

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有機元素分析用標準試料

  1. 有機元素分析用標準試料とは?
  2. 標準試料検定小委員会とは?
  3. 検定の対象と手順

1.有機元素分析用標準試料とは?

有機元素分析の現場で日常的に使用できる標準試料を提供するため、当研究懇談会が選定し、適合性を評価した試料です。その基準は以下の通りです。

  • 標準的な有機元素分析において、理論値と合致した元素分析値が再現性よく得られること
  • 比較的安価で入手しやすく、化学的に安定であること

分析対象の元素(炭素、水素、窒素、酸素及び硫黄、ハロゲン等)の種類と組成によって、複数種類の標準試料を取り揃えています。

従来、数多くの種類を供給してきましたが、近年の需要の変化から、それに見合う供給体制の見直しを図り、2022年1月からは、下表の27品目を選定しています。

2.標準試料検定小委員会とは?

当研究懇談会の会員の中から、有機元素分析業務に長く従事し、信頼性の高い分析を実施できる約10名の委員と若干名の予備検定委員、純度測定協力委員により、標準試料検定小委員会(以下、小委員会)を組織しています。いずれも無報酬で委嘱を受け、標準試料の検定業務や標準試料の選定などを行っています。

2021年度  標準試料検定小委員会

氏名 所属 役職
飯島 憲一 大阪大学 委員
大井 博己 大阪大学 委員
小林 元成 岡山大学 委員
酒井 達子 名城大学 委員
佐々木 典子 第一三共RDノバーレ(株) 委員
鈴木 恵子 理化学研究所 委員
谷山 八千代 名古屋工業大学 委員
丹松 美由紀 鳥取大学 委員
長澤 珠貴 大阪市立大学 委員
原 智恵子 東京工業大学 委員
平野 敏子 京都大学 小委員会委員長
松崎 剛 大阪大学 委員
栗木 武男   予備検定委員
竹内 豊英   予備検定委員
成田 九州男 ミクロアナリティカ・成田 予備検定委員
加藤 毅 日本食品分析センター 純度測定協力委員

3.検定の対象と手順

新たに標準試料の候補となる化合物、および既存の標準試料のうち、製造または前回の検定から10年を経過したロットについて、検定(再検定)を実施しています。手順は以下の通りです。

  1. 当研究懇談会指定の製造所において製造されたロットから一定量サンプルをランダムに取り、それぞれの委員に検定分析依頼試料(以下、検定試料)として送付します。
  2. 委員は、詳細に検定方法を定めた「標準試料検定分析作業についての心得」に従い、検定試料が届いてからおよそ1ヵ月の期限で検定分析を行います。検定試料を分析する前に、必ずアメリカ国立標準技術研究所(NIST)が供給する標準物質を分析し、使用する分析装置の精度と安定性を確認します。検定分析を行う適格性があると判断できたら、検定試料を分析します。検定分析は日を変えて2回実施し、2回の結果を小委員会委員長に報告します。
  3. 委員長は確立された統計計算方法1), 2)に基づいて、各委員から報告されたすべての結果を処理し、その結果を小委員会に報告します。
  4. 検定分析と同時に、示差走査熱量測定や定量NMR測定などによる純度確認を行います。これは試料により測定できない場合があるため予備試験としています。
  5. 小委員会は(3)および(4)の報告に基づき、そのロットの適合/不適合を総合的に判定します。適合と判定された試料は、検定に合格した証明として「標準試料検定分析結果」証を発行します。

(参考文献)

  1. 成田九州男:第67回有機微量分析研究懇談会シンポジウム講演要旨集,pp.3-6 (2000)
  2. 安藤貞一, 成田九州男:第59回有機微量分析研究懇談会シンポジウム講演要旨集pp56-60 (1992)