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2013年度

第328回 ガスクロマトグラフィー研究懇談会
ガスクロマトグラフィー誕生60周年記念講演会・表彰

2013年12月6日(金)、東京都北区の北トピア飛鳥ホールにて「世界のガスクロマトグラフィーと応用分野の発展に寄与する最新技術」を主題とした講演会ならびにガスクロマトグラフィー生誕60年記念表彰授賞式が開催されました。講演は全て受賞講演で我が国のガスクロマトグラフィーの最先端の話題が紹介されました。講演会・表彰式には180名以上ご参加いただき、日本で活動しているたくさんのGC関連企業の方の参加を得て、展示も25社を数え大盛況のうちに終了しました。

冒頭に,前田恒昭委員長(産業技術総合研究所)から,開会の挨拶とガスクロマトグラフィー60年の歩み、表彰対象となった研究・技術の簡単な紹介と位置付けについて話がありました。 午前中は,受賞講演7題の食品・香料、メタボロミクス、材料分析等に関する話題で、 1題目は「クロマトグラフィーと共に歩んだ50年」で、大栗直樹様(日本分析工業)より講演がありました。キューリーポイント熱分解装置の着眼・開発秘話,ならびに分析事例についてご紹介していただきました。ガスクロマトグラフィーの黎明期から発展期への歴史に関する非常に貴重な話でした。

2題目は「食品中残留農薬分析におけるGC/MSのマトリックス効果について」(奨励賞)で,杉立久仁代様(アジレント・テクノロジーズ)より講演がありました。マトリックス効果の原因物質の探索から前処理工程におけるマトリックスの挙動について,食品中の残留農薬分析を例に,研究内容を発表いただきました。実分析する際の注意点も交えていただきながら,非常に有益な内容でした。杉立様はこのテーマで学位を授与されました。

3題目は「食品香気分析における最新の試料前処理・導入技術と多次元GC/MS」(奨励賞)で、笹本喜久男様(ゲステル)より講演がありました。香気成分分析の問題点とその課題に取り組むための提案を最新の分析手法を交えて紹介いただきました。

4題目は「ビールの香気成分解析~においのおいしさへの寄与~」(研究功績賞)で、鰐川彰様(アサヒビール)より講演がありました。どのような臭がビールに寄与しているのか?様々な視点から考察,研究内容を紹介いただきました。

5題目は「SPMEとその応用例」で、西島宏和様(シグマアルドリッチ)より講演がありました。様々な分野におけるSPMEを用いた分析事例を交えながらSPME(固相マイクロ抽出)法の特長,構造,使用方法や注意点について紹介いただきました。

6題目は「加熱脱着GC/MSによる食品の揮発性成分分析」で、山本五秋様(サーモフィッシャーサイエンティフィック)より講演がありました。加熱脱着分析法の原理,利点などについて食品・飲料分野の分析への応用について紹介いただきました。

7題目は「ヒトの香り・匂いと食べ物(バラの香り、疲労臭、加齢臭)・体調(健康、ダイエット、糖尿病、パーキンソン病)」で、津田孝雄様(ピコデバイス)より講演がありました。微小ガス成分の濃縮方法の開発に係るお話や,微量ガスの採取方法,測定方法についての皮膚ガスの発見にまつわる話など,香りの研究に長く携わっている立場からの非常に興味深い話でした。

午後も引き続き受賞講演6題の環境・発生源、工程管理等に関する話題でした。
午後の1題目は「大気中の揮発性から不揮発成分の測定課題と分析技術の開発」(奨励賞)で、今中努志様(ジーエルサイエンス)より講演がありました。大気中成分分析方法,大気分析法と分析技術開発や一斉試験法への対応や,関連した製品開発に至った経緯や課題にどのように取り組まれたのか,その過程や考え方を紹介していただき,非常に興味深い内容でした。

2題目は「ガスクロマトグラフを用いた環境分析」(奨励賞)で、杉田和俊様(MCエバテック)より講演がありました。ダイオキシン類分析,土壌中のTPH(全石油系炭化水素)分析,土壌中のVOC簡易分析など,過去に携わってきた分析手法についてアプリケーションを交えながら紹介していただきました。

3題目は「反応ガスクロマトグラフィーを用いた国際単位系にトレーサブルな有機混合標準物質の供給方法」(奨励賞)で、渡邉卓朗様(産業技術総合研究所)より講演がありました。現代の生活・分析において欠かすことのできない頼性の高い標準物質を開発するにあたって直面する課題や解決するための取り組み,成果に関する研究を紹介して頂きました。渡邉様はこのテーマで学位を授与され、今回は実際の応用に関する内容でした。

4題目は「GC/MS用全自動同定・定量データベースの開発と環境への応用」(研究功績賞)で、門上希和夫様(北九州市立大)より講演がありました。日々増え続ける化学物質に対応するべく,一度により多くの化学物質の測定が可能なより効率的なデータベース開発に係る研究内容について紹介いただきました。

5題目は「GC/MS状態評価用ソフトウエアの開発」(研究功績賞)で、山上仰様(西川計測)より講演がありました。GC/MSの状態を客観的に把握するためのソフトウエアに係るお話を,実際の使用例を交え紹介いただきました。

6題目は「胃袋型インサートを備えたGC注入口装置による環境分析への応用」で、佐々野遼一様(アイスティサイエンス)より講演がありました。胃袋型インサートの特長と,環境分析への応用例,導入時のメリットを前処理フロー含め説明いただきました。

休憩をはさみ,続いて受賞講演6題の試薬・装置と応用に関する発表がありました。
1題目は「ヘリウムプラズマイオン化検出器の紹介」で、藤田修様(ジェイサイエンスラボ)より講演がありました。新型検出器の特長と原理,TCDやFIDとの比較,無機ガスの分析例を交えて紹介いただきました。

2題目は「バリア放電イオン化検出器の紹介」(奨励賞)で、武守佑典様(島津製作所)より講演がありました。新型検出器の特長と原理について,開発秘話も含めて紹介いただきました。産学連携による誕生した新型検出器で従来の放電方式の違いや人工光合成アプリケーションの紹介もいただきました。

3題目は「SpiralTOF型イオン光学系を採用したMALDI-TOFMSの紹介」で、草井明彦様(日本電子)より講演がありました。新型検出器の原理,構成,メリット,他検出器との比較について紹介いただきました。

4題目は「半導体ガスセンサのガスクロへの応用について」で、田中克之様(エフアイエス)より講演がありました。半導体ガスセンサをガスクロマトグラフへ応用したシステムについて,呼気測定の事例を交えて紹介いただきました。

5題目は「扁平(SQ)金属キャピラリーカラムの開発」で、鄭甲志様(フロンティア・ラボ)より講演がありました。従来製品に比べサンプルキャパシティが大きく,高理論段数も両立できる扁平カラムの研究について発表いただきました。

6題目は「ガスクロマトグラフィー分析用試料前処理デバイスの開発と応用」(奨励賞)で、植田郁生様(山梨大学)より講演がありました。揮発性有機化合物VOCsの試料前処理について,従来の方法は,溶媒抽出,加熱脱着,SPMEの課題を解決するべく繊維充填型ならびに粒子充填型の抽出針の製品紹介を,実際の分析事例を交えて紹介いただきました。

講演会終了後,同会場にてガスクロマトグラフィー誕生60周年記念表彰式が執り行われました。
最初に小森享一氏(服部会長代理、日本分析機器工業会)から来賓ご挨拶があり,続いて表彰委員会委員長の保母敏行先生(東京都立大学大学院)から受賞規定と選考過程の説明の後,授賞式が執り行われました。 最初に,ガスクロマトグラフィー奨励賞の授賞式が執り行われました。
前田恒昭委員長が受賞者9名の氏名を呼び上げ,一人一人に賞状の授与,植田郁生様(山梨大学)から受賞者を代表して挨拶いただいた後,記念撮影しました。

ガスクロマトグラフィー奨励賞の受賞者ならびに受賞対象研究内容は、伊東浩一(フロンティア・ラボ)「GC用熱分解・熱脱離用小型反応炉の開発と応用」に関する研究,今中努志(ジーエルサイエンス)「GC,GC/MSを用いた環境中揮発性成分の分析法の開発と応用」に関する研究,植田郁生(山梨大学)「ガスクロマトグラフィー分析用試料前処理デバイスの開発と応用」に関する研究,笹本喜久男(ゲステル)「食品分析におけるGC用新規試料前処理・導入技術開発と多次元GC/MS分析法の研究と応用」に関する研究,杉田和俊(MCエバテック)「GC,GC/MSを用いた環境分析法の開発と応用」に関する研究,杉立久仁代(アジレント・テクノロジー)「GC、GC/MSを用いた食品中の残留農薬分析法」に関する研究,武井義之(ジーエルサイエンス)「GC,GC/MSのための試料処理法の開発と応用」に関する研究,武知亮(島津製作所)「GC用光イオン化検出器の開発と応用」に関する研究,渡邉卓朗(産業技術総合研究所)「反応ガスクロマトグラフィーを用いた国際単位系にトレーサブルな有機混合標準物質への新規値付け方法の開発」に関する研究です。

続いてガスクロマトグラフィー研究功績賞の授賞式が執り行われました。ガスクロマトグラフィー研究功績賞の受賞者は以下の通りです。秋山賢一(日本自動車研究所),門上希和夫(北九州市立大学),金子広之(東京化成製造サービス),小村啓(サントリー生命科学財団),佐藤博(長崎国際大学),瀬戸康雄(警察庁科学警察研究所),代島茂樹(アジレント・テクノロジー),古野正浩(ジーエルサイエンス),前田恒昭(産業技術総合研究所),山上仰(西川計測),和田豊仁(島津製作所),鰐川彰(アサヒビール)。(以下2013CJKで表彰済み。Prof. Dr. Jin-Ming Lin(林金明:清華大学),Dr. Jaeho Ha(Korian Food Research Institute),Prof. Dr. Mangoo Kim(Kangwon National University),Prof. Dr. Dongsun Lee(Seoul Women's University))。賞状の授与御、門上希和夫様(北九州市立大学)から受賞者を代表して挨拶をいただいた後,記念撮影しました。

引き続きガスクロマトグラフィー技術功績賞の授賞式が執り行われました。ガスクロマトグラフィー技術功績賞の受賞者は下記の通りです。アジレント・テクノロジー,ゲステル,サーモフィッシャーサイエンティフィック,ジーエルサイエンス,島津製作所,西川計測,日本電子,ピコデバイス,フロンティア・ラボ。賞状の授与後、神田広興様(ゲステル)から受賞者を代表して挨拶をいただいた後,記念撮影しました。

最後にガスクロマトグラフィー貢献賞・団体表彰(受賞団体 アイスティサイエンス,エスアンドエー・ラボ,エス・ジー・イージャパン,大塚製薬,ケイサイエンス,化学物質評価研究機構,島津ジーエルシー,シグマアルドリッチジャパン,信和化工,テクノインターナショナル,東京化成工業,パーキンエルマージャパン,LECOジャパン)が執り行われ受賞者代表として佐々野遼一様(アイスティサイエンス)から挨拶いただき記念撮影しました。

続いてガスクロマトグラフィー貢献賞・個人表彰(受賞者 安藤晶(ジーエルサイエンス),大橋眞(エス・ジー・イージャパン),田中久光(日本分析化学会),中里正光(ジーエルサイエンス),中村貞夫(アジレント・テクノロジー),羽田三奈子(サーモフィッシャーサイエンティフィック),藤井大将(エス・ジー・イージャパン),本田俊哉(日立製作所),牧岡慎吾(島津製作所)が執り行われ、受賞者代表として大橋眞様(エス・ジー・イージャパン)から挨拶いただき記念撮影しました。

最後に感謝状(受賞団体 ジェイ・サイエンスラボ,ラウンドサイエンス,ブルカー・ダルトニクス,金陵電機,アルファ・モス・ジャパン,エフアイエス,新コスモス電機,エーエムアール,ENVサイエンストレーディング,エルシーサイエンス,レステックコーポレーション,大陽日酸,和光純薬工業,関東化学,林純薬,高千穂商事・高千穂化学工業,堀場エステック,ピークサイエンティフィックジャパン)と特別感謝状(受賞者 麻布大学 生命・環境科学部環境科学科 後藤純雄,久松 伸,同大学 獣医学部獣医学科 高木敬彦)の贈呈式が執り行われた後記念撮影を行いました。

講演会の終了後は、会場を北とぴあスカイホールに移し、恒例の意見交換会が開催されました。参加企業を代表して上田雅人様(島津製作所)、野坂明日香様(アジレント)、梁正一様(ジーエルサイエンス)から挨拶を頂き、保母先生の乾杯で開始されました。
大勢の参加者があり,参加者の親睦も図られ、活発な意見交換がおこなわれました。
(奨励賞,研究功績賞,技術功績賞,貢献賞受賞者氏名ならびに団体名称は五十音順,敬称略。感謝状贈呈団体名称は順不同,敬称略。)

島津ジーエルシー 谷村健太郎

 


 

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