生活文化・    がんの早期発見を目指した簡便・迅速なスクリーニング法の開発
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 国内の死亡原因第1位はがんで、完治には早期発見と早期治療が効果的であると考えられている。迅速・低コストで早期にがんを発見するため、がん細胞が特異的に生成する腫瘍マーカーの血液検査が一次スクリーニング法として注目されている。発表者らはより簡便・迅速・非浸襲にスクリーニングするため、尿中の腫瘍マーカーに注目し、このマーカーとクレアチニンを同時に測定するマイクロセンシングデバイスを作製した。クレアチニンにより尿濃度を補正することで正確な評価が可能となる。

【P2027】     電気化学並びにSPR法による尿中CEA/クレアチニンの同時測定

(JST・産総研生物機能1・筑波大院数理物質科学2)○中元浩平2・関岡直行2・栗田僚二1・丹羽修1
[連絡者:丹羽修、電話:029-861-6158]

 1981年以降、国内の死亡原因第1位はガンであり、年間30万人以上が亡くなっている。ガンの完治には早期発見と早期治療が効果的であると考えられ、現在、大病院において専用の医療機器によるガン検診が行われている。近年、従来のガン検診よりも、より簡便かつ迅速、低コストで早期にガンを発見することを目的として、ガン細胞が特異的に生成する各種腫瘍マーカーの血液検査が、ガンの一次スクリーニング法として注目されている。我々は、より簡便かつ非侵襲に測定可能である尿中のガンマーカー測定に注目している。しかしながら、尿は水分補給や発汗により尿濃度が大きく変動するため偽陽性・偽陰性の頻度が高く、正確なスクリーニングを行うことが困難である。一方、クレアチニンは1日の尿への総排泄量がほぼ一定であることが知られている。このため、クレアチニンを尿濃度の補正分子として用いることで、より正確にスクリーニングを行うことが出来ると考えられる。
 本研究では、簡便かつ正確なガンスクリーニングを目的として、CEA(Carcinoembryonic antigen,胃ガンや大腸ガンなどのマーカー分子として知られる)とクレアチニンの同時測定を目的とした、2成分同時検出用マイクロセンシングデバイスの開発を行っている。CEA及びクレアチニンは、おのおの非標識で簡便に測定可能な、表面プラズモン共鳴法と電気化学測定法により測定を行った。16mm×16mmのガラスチップ上に表面プラズモン共鳴測定並びに電気化学測定用の金薄膜並びに微小流路を集積化した。本マイクロセンシングデバイスへCEA抗体並びにクレアチニン混合溶液を導入することにより、上記2成分の同時測定が可能であることを確認できた。今後、妨害物質の影響を評価し、生体試料応用を目指す予定である。