◆環境・防災◆  身近な素材を用いて室内環境汚染物質を取り除く

最近,ホルムアルデヒドのような揮発性有機化合物が原因と考えられるシックハウスが問題になっている.快適な生活を送るためには,これらの物質を室内環境から取り除くことが重要となる.本研究では,誰でも簡単に入手することができる身近な素材を,空気中の有機化合物の除去剤として利用することを試みた.廃材やおがくずを原料としたセラミックスや炭,粘土,肥料として市販されている物質や抹茶を用いて,ホルムアルデヒドの除去を行なったところ,りんごジュースの絞りかすを炭化処理したものが有用であることが分かった.室内環境の手軽な浄化法として期待される.

【P1037】  各種吸収剤,吸着剤を用いた空気中のホルムアルデヒドの除去

(弘前大理工)〇佐々木葉吏子・糠塚いそし・大関邦夫
[連絡者:糠塚いそし,電話:0172-39-3573]

 ホルムアルデヒドは室内環境汚染物質の一つであることから,室内環境における濃度低減は健康で快適な生活を送るための重要な課題である。問題解決の基本は発生源をなくすことであるが,吸収剤の使用も有用である。このような吸収剤に天然由来のものを利用できれば安心感も増え,場合によっては廃棄物の資源化も可能となる。また,身近な素材の活用は,家庭で簡単にその除去を行うことを可能にする。
 本研究では,このような観点から各種ウッドセラミックスや木炭,天然の無機吸着剤であるベントナイトやクリストバライト,家庭で入手できるものとして肥料として使われる硫酸アンモニウムや抹茶などへのホルムアルデヒドの吸収・吸着について検討した。その結果を表1に示した。
 ウッドセラミックスはフェノール樹脂を木材にしみこませて無酸素下で焼結したもので,廃木材やおがくずなどを原料とすることができる。木材組織が持つ多孔質構造を有しており活性炭同様優れた吸着剤となりうる。りんご炭はりんごジュースの絞りかすを炭化処理したものである。クリストバライトは青森県産の頁岩,ベントナイトは粘土鉱物である。これらの中ではりんご炭がもっとも効果が見られた。また,硫酸アンモニウムや抹茶では水分を共存させたときに効果が増大した。このように身近な物質が活用できれば,良好な室内環境を手軽に得られる可能性が広がると考えられる。