◆生活文化・ |
||||
今も昔も美白は女性にとって大きな関心事である。本研究では,安全性が高く優れた効果をもつ美白成分探索のために72種類の植物抽出液について,皮膚の色素増加に関与するメラニンの産生を抑制する効果を検討した。特に高いメラニン抑制率を示した植物抽出液中のどのような成分が,どのようなメカニズムで作用しているのかについて解明に挑んでいる。現在までのところミョウガの水抽出液に皮膚の色と関係する成分(ドーパキノン)の生成を抑える作用が見つかった。このような作用をもつ成分を解明することにより,安全性の高い美白化粧品の開発が期待される。 | ||||
【G1009】 植物起源メラニン生成抑制物質の探索 (東京理大薬)○黒石奈保・中村 洋 |
||||
昔から『色の白いは七難隠す』と言われます。美白は、女性にとって今も昔も大きな関心事ですが、その鍵を握るのがメラニンと呼ばれる色素です。メラニンは、表皮基底層に存在するメラノサイトと呼ばれる色素細胞内で産生され、メラノサイトの樹枝状突起を通して周囲の細胞にメラニン顆粒が行き渡ることにより、皮膚の色素増加として認識されます。そして、有害な紫外線を吸収することにより核を守っています。夏の陽射しの強い日に真っ黒に日焼けするのも、紫外線から核を守るための生体反応なのです。 |
![]() |
|||
しかし、何らかの原因によりメラニンが表皮で局所的に異常増加し、皮膚の再生サイクルが乱れてしまうと、シミやソバカスなどといった色素沈着となります。また、メラニンはチロシンを出発原料として、チロシナーゼという酵素によりドーパ、ドーパキノンへと代謝された後、黒褐色のユーメラニン経路と黄赤色のフェオメラニン経路に分かれるのですが、これらの量と割合もヒトの皮膚色に影響してきます。このメラニン生成を抑制する美白成分として、アルブチンやコウジ酸などが発見され、シミ・ソバカスを薄くして色白に導くことを謳った化粧品が各社から発売されてきました。米国では有効な薬としてハイドロキノンが販売されていますが、皮膚刺激性などの安全性に問題があると言われています。そこで本研究では、安全性が高く、従来のものより優れた効果を持つ美白成分を探索するため、主に植物由来の成分に着目し、72種類の植物抽出液について検討を行ってきました。まず、マウスのB16メラノーマというメラニン産生細胞を用いて抑制をみた後、高い抑制率を示した植物抽出液について、どの成分がどのようなメカニズムで作用しているのかを探りました。その結果、ミョウガの水抽出液に高いドーパキノンの生成抑制作用が見られたため、現在各種分析機器を用いて作用物質の解明に挑んでいるところです。 | ||||