第62回分析化学討論会について
第62回分析化学討論会実行委員長(信州大学理学部)
    野 村 俊 明
 日本分析化学会には産学官の研究者及び学生が9000人以上所属しております。毎年春には分析化学討論会を,秋には分析化学会年会を開催し,研究成果の発表を通じて会員相互の研鑽と分析化学の発展・普及に努めております。
 第62回分析化学討論会は中部支部の担当で,松本市の信州大学旭キャンパスにおいて6月1日(金)〜3日(日)(3日は見学会)の3日間開催されます。今回は3つの主題を中心に討論を行います。以下にその討論主題とそれらの概要を示します。

1.自然と健康を守る分析化学
 分析化学は自然環境の保全や,生命や健康に関する科学に密接な関わりを持っており,環境や生命体中の微量成分やその動向について討論します。特別講演「海の微量元素は気候変動を支配するか」,「ディーゼル粉じん中の発がん及び内分泌撹乱作用物質の追跡」及び「自然と生命の健康科学」からもその一端を知ることができます。

2.高度技術を支える分析化学
 分析化学は産業の発展にも重要な役割を果たしております。本討論会におきましても,種々の産業を支える分析技術について5件の特別講演があり,更には,諸原材料や製品中の微量成分の分析方法などについても討論します。

3.分析化学21世紀の展望
 分析化学は私達の生活に密接な関わりを持っており,生活の豊かさとともに分析化学の重要性が増してきております。この21世紀において分析化学はどうあるべきかを討論するため,2件の基調講演及びシンポジウムを行います。

 このほかに,これらの主題に基づく一般講演と,その他の一般講演など,総講演件数は約390件になります。この中には,分析機器メーカーなどによる新製品・新技術製品を紹介するテクノレビュー講演も関連する一般講演の中で行われます。
 この冊子は,本討論会で発表される講演の中から,特に社会的に関心が強いと思われるものを選んで,分かりやすく解説したものです。この冊子を通じて日本分析化学会の活動の一端をご理解いただければ幸いです。