◆生活文化・     元素組成分析によりタマネギの産地偽装を見破る
 エネルギー◆ 

 タマネギは国産品と輸入品との価格差が大きいことや,安全性の確保の面などから,産地偽装を見破るための方策が必要である。本研究では,タマネギに含まれる 11 元素(ナトリウム,マグネシウム,リンなど)を ICP 発光分析法により定量し,その結果を統計処理することにより産地(国産品=北海道,兵庫,佐賀,および外国産)の判別を行った。その結果,国産品については,北海道産,兵庫県産,佐賀県産を 100% に近い的中率で,外国産についても高い的中率で判別できた。今後,公的表示監視業務用にマニュアル化を予定している。

C3004】        元素組成によるタマネギの産地判別法の開発

     (農林水産消技セ1・食総研2・兵庫県農林水産技術総合セ3)有山薫1・法邑雄司2
      青山喜典3・望月証3・門倉雅史1・安井明美2
        
[連絡者:有山薫,電話:048-600-2365]

タマネギは生鮮野菜の中で最も輸入量が多く,国産と輸入品の卸売価格の差が2倍以上あることから,産地偽装を見破るための科学的手法の開発が求められてきた。食品表示の信頼性を高め,安心して商品を選択できるようにするためにも,このような手法の開発は重要である。そこで,本研究において,元素組成によるタマネギの産地判別法の開発を行った。国産品は北海道、佐賀県及び兵庫県が主産地であり,国内出荷量の81%(2005年産)を占めることから,これら3産地の原産地表示品を対象に,外国産でないかを判定する手法を確立した。

 タマネギに含まれるNa, Mg, P, Mn, Zn, Sr, Rb, Mo, Cd, Cs及びBaの11元素を,プラズマ分光分析法により分析し,得られた元素濃度を統計解析法の一つである線型判別分析の判別モデルに代入することにより,産地を判別する。
北海道−外国,兵庫県−外国,佐賀県−外国産間の3種類の判別モデルを用いることにより,国産については100%に近い的中率で判別でき,外国産については86〜90%の的中率で判別できた。今後,農林水産消技セの表示監視業務で使用できるようマニュアル化する予定である。