◆生活文化・  電解水に磁気や紫外線をあてても殺菌効果が減少しない
 エネルギー◆ 

 電解酸性水は有効塩素の働きで殺菌・除菌効果があり,医療現場をはじめとして農業,食品分野において機能水として,広く使用されている。しかしながら,電解酸性水に磁気処理,超音波処理や紫外線照射,さらに電解時の共存塩(電解助剤)による有効塩素濃度の減少が知られている。本研究では,有効塩素量,pH,共存塩の種類・濃度が処理方法によりどのように影響するかにについて検討した。その結果,磁気処理や紫外線処理により有効塩素濃度の低下があったが,共存塩として少量の塩化ナトリウムや塩化カリウムを用いると,有効塩素濃度の減少の抑制に有効であることが分かった。

E1028】         電解水に対する磁気処理及び紫外線照射の影響

(神奈川大理・昭和大藤が丘) ○石子貴与晃・高橋法子・西本右子・岩沢篤郎
[連絡者:西本右子,電話:0463-59-4111]

 効果が認められ現在実用化されている機能水・活性水には電解酸性水・アルカリイオン水、磁気処理水、光照射水などがある。このうち有効塩素の作用により殺菌除菌効果を有し、医療現場をはじめとして農業や食品分野で広く用いられるようになった電解水については、相乗効果を期待して、さらに光照射や磁気処理を組み合わせた機能水生成装置も開発されている。これまでの研究から電解酸性水(陽極水)に紫外線照射や超音波処理を行うと有効塩素濃度が減少することがわかった。また有効塩素濃度の減少率及び電解水の安定性は処理時間に関係していることもわかってきた。しかし、電解水中の共存塩の違いや処理強度等さらに検討を要すると考えられた。
 本研究では、有効塩素量やpH、共存塩(電解助剤)の種類・濃度の影響がより明確となるよう、これまでの研究に基づいて電解水のモデル溶液を次亜塩素酸塩、塩酸(または水酸化ナトリウム)、塩化ナトリウム(または塩化カリウム、塩化カルシウム)より調製して使用した。処理には、強度の異なる2種のハンディUVランプ (各254 nm)と水道管に装着するタイプのネオジム永久磁石を使用した。試料水表面でUV照射の強さは1〜2 mW/cm2 であり、磁気処理の強さは80〜160mTである。あわせてS. aureus, S. epidermidis, P. aeruginosa, E. coliを用いた殺菌効果試験を行った。
 紫外線・磁気共に処理による有効塩素濃度の低下が認められ、減少率は処理の強度及び時間と共に増大した。共存塩では塩化ナトリウムが最も有効塩素濃度の減少が少なく、塩化カリウム、塩化カルシウムの順であった。共存塩濃度が50mmol/L以上と高い場合は低下が顕著であった。処理後の試料をポリビンに充填し、40℃で48時間まで保持したところ、有効塩素濃度はさらに減少し、減少率は最大で50%であった。減少の程度は処理の種類や強度及び塩の種類によって異なり、各処理共に処理強度、時間に従って減少率が大きくなる傾向がみられた。共存塩では塩化ナトリウムが最も有効塩素濃度の減少が少なく、塩化カリウム、塩化カルシウムの順であった。少量の塩化ナトリウムまたは塩化カリウムの共存により有効塩素濃度の減少が抑えられることがわかったが、塩化カルシウムでは抑制効果はみられなかった。殺菌効果試験の結果も同様であった。
 本実験で用いたような弱い紫外線や磁気の処理においても、電解水の複合処理に用いる場合、有効塩素の減少抑制には、電解助剤の種類及び濃度が重要であることがわかった。