日本分析化学会第53年会の開催にあたって

第53年会実行委員長(千葉大学工学部)

                         小 熊 幸 一

 日本分析化学会は,産官学の理・工・農・医・歯・薬学などに関係する研究者・技術者9000人以上が所属する世界有数の学会です。本学会は,毎年春には討論会を,秋には年会を開催し,研究成果の発表を通じて会員相互の研鑽と分析化学の発展・普及に努めています。また,9月には幕張メッセで開催される日本分析機器工業会の分析展に合わせて東京コンファレンスを開催し,社会への啓蒙活動を行っています。
 本年の第53年会は,関東支部の担当により,千葉工業大学芝園キャンパス(千葉県習志野市)において9月1日(水)〜3日(金)の3日間開催されます。この間に,一般講演,ポスター発表,招待講演,受賞講演など総計738件が予定され,活発な討論が期待されます。
 なお,今回は初めての試みとして東京コンファレンス(幕張メッセ)と同時開催します。この同時開催のメリットを活かすため,年会と東京コンファレンスが合同して下記のシンポジウムを企画しました。
  I  大学発ベンチャー
  II  分析科学と人間社会
  III バイオ・メディカル・食品分析おける標準化の動向
  IV  いよいよ始まる先端機器開発プロジェクト −その現状と動向−
  V  食品衛生の最新動向と分析値の信頼性確保
  VI  ナノテクノロジーが拓く分析化学
 以上のうち,会員向けの?と?は千葉工業大学で,分析化学に関連する一般社会人向けの?〜?は幕張メッセで行います。いずれのシンポジウムも時機を得たものであり,多数の参加者が見込まれます。
 また,東京コンファレンスの企画であるアジア若手研究者の招待講演9件は年会の一般講演会場で行われます。各国で将来を嘱望されている代表的研究者を迎えてのこの企画は,本会若手グループ(若手交流会)の発案によるものですが,アジア諸国との交流促進に大きく寄与することでしょう。

 この冊子は,本年会で発表される一般講演とポスター発表の中から,社会的に関心が高いと思われるものを選んで分かりやすく解説したものです。さらに詳しいことを知りたい方の便宜のため講演番号と発表者の連絡先を記載してあります。この冊子を通じて,本会の活動の一端をご理解いただければ幸いです。

総講演数738件。内訳:一般講演(ポスター),298;同(口頭),397;受賞講演,9;
その他講演(アジア若手,研究懇談会),34。