【1Y37】 燃料電池型電気化学検出器を用いる溶存有機化合物測定法に関する研究
(山形大工1・山形大院理工2・テクノモリオカ3)遠藤昌敏1・○深津政光1・
佐々木香織1・水口仁志1・志田惇一1・仁科辰夫2・佐藤勧3・山木和彦3
[連絡者:遠藤昌敏,E-mail:endomasa@yz.yamagata-u.ac.jp]
近年,BODやCODに変わる水質の指標として全有機体炭素(TOC)濃度を採択する方向が検討されている。また,半導体における洗浄水や製薬業界に用いられる超純水は,溶存する有機化合物濃度をモニタリングする必要がある。現在,溶存有機化合物の測定法としてGC−MS法,全有機体炭素測定にはTOC計が存在するが,これらの装置は大型であり,携帯での測定には難がある。
本研究では,高分子電解質型燃料電池(PEFC)がメタノールなどの有機物を用いて効率よく発電できることに着目し,燃料電池タイプの検出器を有する小型かつ操作が簡便な溶存低分子量有機化合物の連続測定器を開発することを目的とし,検討を行った。
陽イオン交換膜を電解質とした膜電極接合体に一定の直流電圧を印加し,反応極側において溶液中に存在する有機化合物の酸化により生じる出力電流を測定することで有機化合物を検出および定量を行った。水の分解が起こらない電位範囲でメタノールおよびエタノール溶液の測定を行ったところ,それぞれ0〜100ppm,0〜300ppmの範囲で濃度変化に伴う電流値の応答が認められた。測定電位を変えることで他の有機化合物の定量も行え,使用する膜や電解液を変えることにより,さらに低濃度範囲での測定が可能となる。また,測定試料溶液を流しながらの連続測定が可能であり,溶存有機化合物モニターとしての使用が期待できる。
|