◆新素材・ 化学の‘ものさし’をつくる(4)VOC標準ガス 先端技術◆ ベンゼンなどの揮発性有機化合物(VOC)については,環境基準値が設定されているため,その計測においては信頼性のある分析を行うことが前提となる。特に大気中の低濃度の物質の分析では,精確に調製された標準ガスが不可欠である。そこで小型ステンレス容器と安定性の高い機械式の天びんにより,高精度な標準ガスを調製する手法を開発した。この手法により,任意の希釈濃度の標準ガスを短時間で高精度に調製することが可能になったため,現場での高精度の分析が期待できる。 |
||||||
低圧充填による高精度VOC標準ガス調製法の検討 |
||||||
本研究では芳香族系の揮発性有機化合物(VOC)を選定し、高精度な単成分、多成分混合標準ガスの調製法を開発した。標準ガスは空の充填容器に希釈ガスや成分ガスまたは液体成分を混合させて調製されるが、小型ステンレス容器(充填圧力1MPa)と、電子天秤より安定性の高い機械式の天秤を用いることにより、高精度な標準ガスを調製することができた。また、ガスクロマトグラフや質量分析計の分析結果から、容器内標準ガスの安定性や検量線の直線性も確認することができた。標準ガスの調製は標準液と異なり任意の濃度を調製することが困難であったが、この手法により実験室レベルで、任意の希釈濃度の標準ガスを、簡便に、短時間で高精度に調製することができる。 | ![]() |
|||||