◆新素材・ 化学の‘ものさし’をつくる(3) 先端技術◆ ウラン・プルトニウム分析用核燃料標準物質 使用済核燃料の再処理プロセスにおいて,ウラン及びプルトニウム濃度を精確に求めることは核物質管理の観点からも重要である。本研究では,同位体希釈法で核燃料物質中ウラン・プルトニウムを定量するためのスパイク標準試料の開発を行った。安定性に乏しかった従来の調製法に替わる,セルロースのエステル化合物を利用したウラン・プルトニウム乾固物のコーティングという新しい手法により,標準物質としての長期安定性が確保された。両元素の濃度及び同位体比を値付けした認証標準物質として入手が可能である。 |
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セルロース化合物をコーティング剤としたウラン・プルトニウム分析用標準物質の開発 |
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その結果、分析値と調製時データから算出される期待値との間に有意な差はなく、また、実用上重要な溶解性についても良好であり、CAB添加による化学分離及び測定への影響はないことが明らかとなった。更に、本試料を調製後、約1年を経過したものについて外観上の変化はなく、確認分析を行った結果も調製時の値と有意差はなかった。以上の試験結果から、このスパイクは、標準物質としての長期安定性が十分に期待できるものである。本標準物質は、度量衡学的データ及び確認分析の結果を基に235U及び 239Puの濃度/同位対比を値付けし認証標準物質としてEC-JRC-IRMM (European Commission, Joint Research center, Institute for Reference Materials and Measurements)にて入手が可能である。 | |||||