高純度鉄鋼材料及びアルミニューム材料の組成評価に関する研究
(鋼管計測・武蔵工業大1・日鉄リサーチ2)○石橋耀一・平井昭司1・柿田和俊2
[連絡者:石橋耀一、電話:044−322−6208]
高純度金属材料は優れた材料特性を持つために先端的な材料開発に広く利用されている。金属材料の特性値の評価には正確な含有成分の定量が不可欠である。成分分析を行う場合は信頼性の高い認証標準物質が必要になる。従来の鉄鋼やアルミニュームの認証標準物質では微量含有量であるトランプエレメント(還流元素:Sb、Pb,Biなど)などは十分な値付けがなされていなかった。高精度分析法である誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)を中心としたラウンドロビンテストを実施し、SIにトレーサブルな中性子放射化分析法とも比較して高純度金属材料の微量含有成分の組成評価を行った。評価した元素は今後スクラップリサイクル利用拡大、研究開発や品質管理上優先順位の高いものを選択した。組成評価を行うために定量下限を向上させるマトリックス分離やブランク値低減の技術検討を行い基準分析法を確立し、日本鉄鋼認証標準物質(高純度鉄:JSS−003,JSS−001)、軸受鋼、日本分析化学会高純度アルミニューム標準物質(LSI用:JAC−0021,JAC−0022,JAC−0023)、高純度アルミニューム(MCC−1)について組成評価を行った。高純度アルミニュームの場合は高精度分析法としてグロー放電質量分析法による分析結果も加えて検討した。軸受鋼の場合はSIにトレーサブルな荷電粒子放射化分析法(CPAA)を基準として不活性ガス融解法によるラウンドロビンテストを実施し表面酸素の影響量を解明し先端材料である軸受鋼中酸素の組成評価を行った。ラウンドロビンテスト結果を統計解析し、高純度鉄鋼認証物質や高純度アルミニューム標準物質の認証値を決定するに十分な結果を得ることができた。
鉄鋼・アルミニューム ラウンドロビンテスト 組成評価
標準物質 ⇒ 統計解析 ⇒ SIトレーサブル
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