LED発光・フォトダイオード検出型簡易計測器の開発
(山形大工)遠藤 昌敏・〇佐藤 隆光・横田 文彦・水口 仁志・志田惇一
[連絡者:遠藤昌敏,電話:0238-26-3142]
色を用いる分析法は,簡易,安価かつ迅速に定性および濃度判定ができる優れた分析法であり,幅広い領域で用いられている。一方,色を数値化する色彩色差計測は,塗装・印刷・食品・建築などの多くの分野において生産管理,品質管理の目的で利用されている。我々はこれまでに,色を用いる物質の定量法に色彩色差計測を適用することで,簡易分析におけるデータの客観性,保存性の問題点を解決し,低濃度域での定量および複数成分の同時定量が可能であることを明らかにしてきた(色彩化学計測)。しかしながら市販の色彩色差計は,発光部及び受光部が複雑であり,比較的高価である。現場分析に応用でき,装置内に組み込んでオンライン測定を可能とするには,小型で色の測定が行える定量分析用簡易計測器が必要である。
本研究では, LED(赤・緑・青・白)の光を測定対象物に照射し,その反射光を可視光フォトダイオードで受光する簡易計測器を試作し,その基本性能についての検討を行った。色の三原色である赤・青・黄の各カチオン色素をフィルターに捕集して測定したところ,濃度に対応した電圧値が得られ,色素の定量が行えた。また,色素の吸収波長と各LEDの発光波長が近接しているほど,大きな応答が得られることもわかった。薄赤色に変色する銅やニッケルイオン試験紙を用いた場合,緑色LEDに対する応答が良好であり,金属イオンの定量も行えることを明らかにした。試作した簡易計測器は,濃度測定器として十分な性能を示しており,各発光波長のLEDに対する応答性の違いにより色の識別も可能である。以上より,本計測器は色を用いる分析法において小型かつ簡易なモニタリングシステムとなることが期待できる。
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