オンライン固相抽出一表面プラズモン共鳴免疫法によるppbレベルの
ビスフェノールAの直接測定
(福井大工)○呉 行正、松田光弘、末 信一郎、(九大院工)今任稔彦、
(八戸高専)奥谷冴子、浅野泰一
【連絡者:呉 行正、竜話:0776−27−8610]
表面アラズモン共鳴(Surface plasmon resonance,SPR)現象を利用する免疫センサーで低分子有機化合物を直接測定する場合、定量下限はppm程度で、実際の環境計測には感度が定りない。一方、蛋白質或いは抗体で抗頼を標識する競合法SPRセンサーでは、検出下限はppbレベルに達することができるが、高価な蛋白質を使用することや複雑なラベリング操作が必要などの問題がある。そこで、本研究はオンライン固相抽出−SPR免疫センサーによるppbレベルの低分子有機化合物の直接測定を試みた。具体的には、環境ホルモンと疑われているビスフェノールA(BPA)のSPR測定を検討した。
図1にオンライン固相抽出濃縮−SPRセンサー検出系を示す。まずポンプ2により水試料を固相抽出チューブに送液し、試料中のBPAを固相抽出チューブで濃縮させた。その後バルブ2を切り替え、固相抽出チューブをポンプ1から送られた緩衝液の流路に切り替えた。次に、バルブ1から有機溶媒一水の混合液200μ1を脱着剤として注入し、固相抽出チューブで濃縮されたBPAを脱着させ、フローセルに流出させ、SPRで検出した。SPRセンサー部ではBPAの抗体を化学結合させた。
図2に実験結果の一例を示す。図2−Aでは、3ppmのBPA水溶液を流路に注入し、SPRで直接測定したときの信号であった。一方、図2−Bでは、10ppbのBPA水溶液600mlをまずオンライン固相抽出し、次に5O%のエタノール水溶液で注入、脱着したときのSPR信号であった(流速が図2−Aと異なる)。明らかに、本法によりppbレベルのビスフェノールAの直接測定は可能であることを明らかにした。
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