◆環境・防災◆ 人工湿地を利用して金属汚染水の浄化をはかる 工事現場や鉱山近辺の土壌による水の汚染は深刻な問題であるが,根本的な環境修復には経済的な負担も大きい。この問題に関しては,自然の浄化作用に基づく環境修復法に大きな期待が寄せられているが,どのような経路や化学現象を通して浄化が進むかは明らかにされていない。本研究では,葦産生人工湿地において,酸性水中のマンガン,鉄,銅,亜鉛などの重金属がどのようにして除去されるかを約1年間にわたって追跡し,その除去ルートを明らかにした。自然と共生した環境修復法を確立するための基礎データとして重要な結果が得られた。 |
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人工湿地における重金属の固定形態と除去ルート |
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湿地土壌中の銅の形態別分析からは、酸性水導入前の土壌には銅はほとんど含まれていなかったが、酸性水導入後の春には酸化物結合型をはじめとして若干の蓄積が認められ、夏には、有機物結合型の銅が著しく増大した。このことは、春から夏にむかって気温が上昇し土壌微生物による土壌有機物分解が活発となり、生成した低分子有機物と銅との錯形成が促進されたものと考えられる。夏に採取した葦の根の部分には、銅の蓄積が特異的にみられ、土壌水の中で低分子有機物が電解質としての振る舞いをして銅を植物体内に輸送したと考えられる。 |
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