◆生活文化・エネルギー◆  醤 油 の 健 康 増 進 機 能 の 解 明 に 光 明
 醤油や味噌といった日本古来の食品は,種々の病気の予防薬として有望視されているが,あまりに複雑な試料であるため,有機成分の分離・検出は非常に困難であり,特異的機能成分の同定が遅れている。著者らは,ペプチドの中でN末端がトリプトファンとなったものに焦点を当て,それらを分離するとともに,特異的に高感度検出するシステムを構築した。これを醤油に適用し,未知の2成分を検出することに成功した。本法は,食品中のような複雑系中の特異構造の検出に極めて有効で,健康増進機能成分の発見・同定につながることが期待される。
【1C27】      醤油成分中の未知N末端トリプトファン含有ペプチドの検索

   (長崎大・薬1、長工醤油味噌協同組合2)○藤本長士1、太田和子1、八木沢皓記1
    林田真二郎2、甲斐雅亮1 [連絡者:甲斐雅亮、電話:095-843-1742]
 日本は世界でも有数の長寿国であることは知られている。それは、医療が進歩してきたことや生活が豊かになったことからという要因もあるだろうが、日々知らず知らずのうちに口にしている日本の古来から伝わる独特の食品もその要因の一つではないかと思われる。つまり、味噌や醤油などを日常のように食することにより、それらの食品に含まれる成分が様々な病気の予防薬のような働きをしているのではないかと考えている。従って、健康増進機能を保全する食品開発には古来の食品に含まれる新しい機能成分を探索、単離、構造決定し、その生理活性を解析する研究が必要とされている。
 本研究は、それらの成分の簡便な探索手法に極めて役立つクロマトブラフィーの光学検出システムを開発した。それは図に示すように、醤油や他の食品、生体材料などの複雑な試料を分離した後、全ての有機成分を検出できる吸光検出、蛍光性の有機成分を検出できる蛍光検出及び目的成分のみを特異的にかつ高感度に検出できる化学発光検出を連携させる光学検出システムである。この特異な化学発光検出反応は、我々が開発したものであり、グリオキサール誘導体化試薬によってN末端トリプト     ファン含有ペプチドのみを化学発光性物質に変化させる。この検出システムによって、醤油成分から未知なる2成分が検出され、それを精製し構造解析を行った。今後、この成分の大量合成を行い、生理活性を検討する予定であり、この検出システムを用いることにより、様々な食品からの特異的な機能成分の発見が期待できる。