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会員からの情報 2010

 
SFC2010 in Stockholm/Sweden 見聞記

産総研 高橋かより

SFC2010は正式名称を「4th International Conference on Packed Column SFC 2010」といい、ヨーロッパとアメリカで1年ごとに交互に開催されている国際会議です。

今年は、スウェーデンのストックホルムで9/15と16日の二日間、Radisson Blu Royal Viking Hotelにて行われました。ストックホルムは、9月中旬にもかかわらず既にかなりの冷え込みで、現地の人は普通にコートを着て歩いていました。猛暑の日本から来た新参者は、上着一枚で寒かったです。とはいえ、会はホテルの中ですので、とても快適でした。写真(左上)に写っている中庭にある食堂のすぐ横の会議室が会場でした。中庭といっても、高い天井がガラス張りになっています。ホテル自体は写真(右上)の左奥にあるように、ストックホルム駅の目の前、まさに街のど真ん中にあります。写真の中央に見えるような古い教会が街中にいくつもあり、古い街並みと近代的な建物が混然一体となった独特の雰囲気を醸し出していました。歩いて行ける距離にノーベル賞の授与式や舞踏会が行われるストックホルム市庁舎もあります。私が行ったのは、今年度の授賞発表の1カ月ほど前で、今から思うとちょっと早すぎたようです。
前置きが長くなりましたが、SFC2010のテーマは、現在急速に普及しつつある超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)の技術に関する国際的な共通認識を作っておきたいという機器メーカーと、装置開発のプロトタイプ機を作り続けてきた学識経験者・ベンチャー企業家の趣向によって開催されているようです。製品化から数十年が経過しているSFCが、今日新たな注目を集めている訳は、本会議の主催者の名称The Green Chemistry Groupが示すとおり、SFCが有害な有機溶媒を使用せず、かつ使用済みの二酸化炭素の再利用にも繋がっていることが理由でしょう。概して生物に有害である有機溶媒を使わないことは、それ自体が製薬メーカーや各種バイオ産業にとっては非常に好都合なことで、SFCの急激な展開の原動力となっているように思います。SFC業界で、おそらく今最も有名なTerry Berger博士は、HP、Berger Instruments, Auroraなどの会社でSFC装置開発を行い、彼が立ち上げたAurora社は、現在はAgilent Technologies社へ移っています。会の参加者は質問をする際、自分の名前を名乗ってから話し始めていましたが、Berger博士の場合だけは彼が名乗ると笑いが起きていました。会場で、おそらく彼の名前を知らない人は一人もいないに違いないのが、その笑いの真意でしょう。そのくらい、現在のSFCの復活劇は急進的で、外部からの要求によって眠っていた技術がある日突然揺さぶり起こされたといった雰囲気でした。
以下にいくつか気付いた点を列挙してみます。
・SFCを分離技術として現在最も多用しているのは製薬会社でしょう。報告によれば、現在流通している医薬品の実に70%はキラル化合物だそうです。キラル化合物を確実に、かつ十分な量を分取出来る方法はSFCの他は無く、サリドマイドなどの薬害に見られるように、製薬業界におけるSFC分離は不可欠な技術となっています。
・SFCが近年、復活してきた背景には「カーボンオフセット」への対応があります。SFCにおいて使用される二酸化炭素は再用品であり、それ自体でCO2削減効果がありますが、もう一つ、有害な有機溶媒を代替できる点が重要です。有機溶媒は、それ自体に毒性があり環境負荷が高いばかりでなく、廃棄する際に多量のCO2を排出します。SFCを分離技術に使用することで、CO2削減の目標値を一気に達成できてしまうそうです。
・SFCは単に分離するだけではなく、「分別して採取する(分取する)」ことにも長けています。CO2は容易に気化するので、分取物に残留することが少なく、また仮に残留しても無害です。また、超臨界流体は粘性が極端に低いため、分取に掛かる時間も通常の溶媒に比べて圧倒的に短く済みます。単にSFCを分析用に使用するのではなく、分取への用途が大幅に増加していることは重要な点と考えられます。
・SFC装置はこれまで比較的小さな会社が製造してきた経緯があり、装置的には通常のHPLCよりも精度が劣る点が否めないように概観します。今年に入ってWatersやAgilentといった大手企業が参入してきたことにより、装置性能の著しい向上への期待が高まっています。
・欧州や米国に比べて、アジア圏でのSFC使用は残念ながら極端に低いです。今回の学会でも参加者約150人のうち、日本人は5人、韓国人数人のみで、中国人は0人でした。グリーンケミストリーへの寄与度がそのままSFCの使用頻度と結びついているように感じました。日本はアジア圏唯一のSFCの装置メーカーがある国であり、せめてアジア圏でリーダーシップを取れるようになれればと思いました。
・SFC分離・分取の対象となっている物質は圧倒的にバイオ・製薬・医療関係の物質が多く、合成高分子は今回の学会でもまったく手つかずであったのは驚きでした。現状の合成分野での産業利用の例は、石油系燃料の分析にSFCが使用される段階にとどまっているように見受けます。カーボンオフセット効果としては、合成高分子の越えなければならないハードルは高く、今後この分野、つまり汎用プラスチックスやエンジニアリング素材の分野におけるSFC利用の促進が急務であると思われます。

SFC技術は古くて新しい分野であることをSFC2010でつくづく実感しました。20年ほど前に急激な発展を見せ、その後やや収束の兆しであったSFCが、近年のグリーンニューディール熱とカーボンオフセット技術の発展にともなって急激な再展開を見せていることは注目すべきことであるように考えます。欧州・米国の産業に大きく浸透しつつあるSFC技術の進展に、本国もその潮流に乗り遅れないことが大切であると痛感しました。

 


食総研・産総研ジョイントシンポジウム2010

「その分析値は信頼できますか?」
-食品分析における標準物質・技能試験の活用-
http://www.nmij.jp/public/event/2010/jointsymposium/

 


第25回NMIJセミナー

確かな標準物質(幕張メッセ国際会議場)
http://www.nmij.jp/public/event/2010/nmij25/100901program.pdf


【自動車技術会】"PMおよびPRTR 関連物質の環境対策"シンポジウムのお知らせ

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行事名:17-09シンンポジウム
名称:「PMおよびPRTR関連物質の環境対策」
日時:2010年2月12日(金)
会場:工学院大学 3F アーバンテックホール(新宿)
企画:PM測定・評価部門委員会
http://www.jsae.or.jp/calendar/#1347
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プログラム:
10:00 開会挨拶 PM 測定・評価部門委員会幹事 日産自動車㈱ 岡山紳一郎氏
10:10 SAE(米国自動車技術会)におけるPM 研究の動向 群馬大学大学
院 新井雅隆氏
11:00 PM のサンプリングと計測機器 東京ダイレック 瀬名波啓夫氏
11:40 欧州におけるPMP とPM 個数規制の動向 司測研 湯舟 武氏
12:20 昼休み
司会:岡山紳一郎氏(日産自動車㈱)
13:40 自動車排出PM 成分やPRTR 関連物質 日野自動車 富澤憲次氏
14:30 大気環境とPM2.5  国立環境研究所 新田裕史氏
15:20 休憩
15:50 日本と米国における個別化学成分の計測動向 日本自動車研究所
秋山 賢一氏
16:30 閉会挨拶 PM 測定・評価部門委員会委員長 群馬大学大学院 新井雅隆氏

■下記URLからもお申込みいただけます。
http://www.jsae.or.jp/calendar/#1347
https://www.jsae.or.jp/cgi-bin/sympo/prog/jsrs3_01.cgi?sympo=17-09

主催:自動車技術会
企画:PM 測定・評価部門委員会
協賛:日本エアロゾル学会・日本エネルギー学会・ 日本機械学会・日本自動車工業会
定員:80名
参加費(消費税込・テキスト1冊込):正会員:10,500 円,学生会員::
3,150 円,賛助会員:22,050 円,一般:31,500 円,協賛学協会の会員:22,050 円

申込方法:次のいずれかの方法でお申込み下さい.
① インターネットからの申込み:
「申込ページ」 【URL】
https://www.jsae.or.jp/cgi-bin/sympo/prog/jsrs3_01.cgi?sympo=17-09
② インターネットをご利用できない方:
講習会名・参加者名・連絡先住所・電話番号・会員番号(該当者のみ)を明記の上,E-mail,Fax または郵送にて下記宛お送り下さい.
申込先:102―0076 千代田区五番町10―2 自動車技術会 技術交流グループ
E-mail: sympo@jsae.or.jp
Fax. 03―3261―2204