「支部事業への関東支部会員の皆様の積極的な御参加を期待しています」

(社) 日本分析化学会関東支部長

山梨大学教育人間科学部山根兵

今年は21 世紀に入りましての第2歩目を踏み出した、やっと両足が新世紀に着地したともいえる年であります。数年前から21 世紀の始めを記念するような関東支部としての新しい事業を企画検討しておりましたが、昨年度の関東支部「新世紀賞」の創設に続きまして、このたび「環境分析基礎講座」と称する新しい講習会を実施するはこびとなりました。これは日頃から分析業務に携わっておられる企業の実務者のうち、まだ分析実務経験の浅い初級者に対して、“分析とは何か”から始まって、試料の採取と取り扱い、分析化学実験の基本操作(器具の取り扱いを含む)、分析の質の保証、分析データの処理やその精度管理、などの分析化学の基礎を教育訓練する場を提供しようというもので、これまでの講習会よりも実習に重点をおいたところが大きな特長でもあります。すでに実施されている関東支部主催の機器分析講習会や分析信頼性委員会主催の各種セミナーや講習会等を補完するものと考えております。

この新しく企画した講習会の他にも、これまで関東支部は、機器分析講習会(今年度で第43回と長い歴史があります)、地方講演会など色々な事業を行っています。そのうち、東京シンポジウムは関東支部主催としては今年が最後となります。昨年度の支部ニュース(第12号)でも澤田前支部長から紹介がありましたように、来年度からは本部事業として更に発展していくものと期待されています。ちょうど、私が支部常任幹事であった年に東京シンポジウムの構想が持ち上がり、5 年を年限として平成9年にスタートしたものが更に1 年延長されたわけですが、その最終年に支部長として遭遇することになり感慨深いものがあります。東京シンポジウムの開催が企画されましたときには、ノーベル賞受賞者などの世界的に著明な学者をお招きしての特別講演を目玉にしようという壮大な構想がありました。この構想どおりに、これまでの東京シンポジウムで実施された特別講演には毎回多くの参加者があり大成功であったことは周知のとおりです。9月4〜6日に開催された今年の第6回分析化学東京シンポジウム・2002 機器分析東京討論会(日本分析機器工業会の2002 分析展と同時開催)の特別講演には文字どおりのノーベル賞受賞者の野依良治先生と、その分野の世界的な第一人者である中村修二先生を講師にお招きすることができ、お二人の歯に衣着せぬお言葉を交えながらの含蓄に富んだ素晴らしいご講演に大入り満員の聴衆が深い感銘をうけたことは記憶に新しく、後々まで語り継がれるような記念すべきシンポジウムとなりました。

話題がかわりますが、関東支部の今年度の会員数は個人会員約3200名、団体会員670ということで、ここ数年来、特筆すべきほどの大きな増減はなく、相変わらず日本分析化学会の7支部の中では一番多く、学会全体の個人会員の約半数が関東支部所属の会員ということになります。会員が多いということは専門的知識や能力、技術を身に付けた人を殆どあらゆる分野において確保、供給できるほど人材豊富ということでもあり、講習会をはじめ、何らかのイベントを企画するときに人材に事欠かないという利点があります。一方では会員数が増えれば増えるほど会員同志の意志疎通がうまく行かなくなったり、支部行事に関与し、あるいは参加する人の割合は相対的に低くなりがちで、支部会員としての存在感をどの程度お持ちなのか疑問が残るところでもあります。支部活動の活性化や支部会員相互のコミュニケーションを図るために歴代の支部長や支部役員の方々が苦心し、努力して来られたわけですが、今年度もこれまでに築き上げられたものを継承しながら、さらなる発展充実を図り、また、会員の方々がより魅力を感じる学会、及び支部にするための方策を支部役員や会員の皆様と議論しながら探っていきたいと考えております。皆様からのご意見やご協力をよろしく御願い申し上げる次第です。


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