第18回キャピラリーガスクロマトグラフィー講習会

第18回キャピラリーガスクロマトグラフィー講習会

―基礎と応用(アプリケーション)―

―今年のアプリケーションテーマは水質分析―


  主催  日本分析化学会ガスクロマトグラフィー研究懇談会

  

 日本分析化学会ガスクロマトグラフィー研究懇談会では例年夏期に、実習を中心としたキャピラリーガスクロマトグラフィーの講習会を開催しています。これまで17回開催し約500名以上の方々が参加され、アンケート等でも高い評価を頂いております。今年は会場を麻布大学に移し、「基礎と応用(アプリケーション)」というテーマでキャピラリーガスクロマトグラフィーの基礎的項目についての講義と実際のアプリケーションに即した実習を行うべく下記のように講習会を開催いたしますので奮ってご参加下さい。


期日 8月1日(水)〜8月3日(金)

会場 麻布大学(神奈川県相模原市中央区淵野辺1-17-71、生命・環境科学部, 交通:JR横浜線「矢部」駅下車4分、電話:042-754-1111)

http://www.azabu-u.ac.jp/


プログラム

第1日(8月1日)<講義> 10時〜18時(予定)

(1)キャピラリーガスクロマトグラフィーの基礎理論 (都立大名誉教授 保母敏行)

(2)キャピラリーガスクロマトグラフィーにおけるカラム、試料注入法((株)島津製作所 和田豊仁)

(3)ガスクロマトグラフィーにおける試料前処理法、導入法、装置(ジーエルサイエンス(株) 安藤晶)

(4)ガスクロマトグラフィーにおける検出器の原理と使用法 (GC技術研究所(有) 竹内正博)

(5)GC/MSの基礎と応用例(アジレント・テクノロジー(株) 代島茂樹)

(6)マススペクトル解析の基礎 ((財)日本自動車研究所 秋山賢一)


第2日・第3日(8月2日・8月3日)<実習> 10時〜16時(予定)

テーマ1:試料注入法 (注入法の選択と条件の設定)

テーマ2:分離の最適化(カラムの選択と各種条件の設定)

テーマ3:試料の前処理法(誘導体化と簡易分析法、フェノール類とVOC) 

テーマ4:GC/MS(水道(水質)分析の実際、水質農薬とカビ臭)

(注)プログラム(講義の講師含む)および実習テーマや内容は変更になることがありますので、ホームページにてご確認ください。

実習指導は研究懇談会委員長 前田恒昭 以下、多数の運営委員が行います。また装置の操作等はメーカーのトレーナーの方に御協力頂きます。

 

受講料 研究懇談会会員 45,000円、会員外60,000円、
講義のみ:会員15,000円、会員外20,000円

交流会 8月2日、Q&Aを含む情報交換会

募集人員 40名 講義のみ 若干名 (いずれも先着順)

申込方法 
参加希望者は氏名、勤務先、電話番号を必ず記入し、FAXまたはE-mailで下記あてお申し込み下さい。

申し込み先 
〒141-0031 東京都品川区西五反田1-26-2 五反田サンハイツ304号 
日本分析化学会ガスクロマトグラフィー研究懇談会
「電話:03-3490-3351、FAX:03-3490-3572、E-mail:hm_tanaka@jsac.or.jp

 

申し込み締切日 7月25日(水)

 

講習会の内容等の問い合わせ先 アジレント・テクノロジー(株)営業支援センター、

  代島茂樹、電話 0120-477-111、E-mail: shigeki_daishima@agilent.com

 なお、最新情報は随時、ガスクロマトグラフィー研究懇談会のホームページ(http://www.jsac.or.jp/~gc/)をご覧下さい。

会場の正確な地図:(下のキャンパスマップのSの生命・環境科学部棟になります、講義は1階、実習は3,4階) http://www.azabu-u.ac.jp/campus_map/

日本分析化学会のホームページ(http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsac/)とリンクしております。

 

第18回 キャピラリーガスクロマトグラフィー講習会概要


1.講義編

 講義編は6項目からなる。最初は「キャピラリーガスクロマトグラフィーの基礎理論」

でクロマトグラフィーの分類とGCに位置づけ、GCの構成、試料導入についての説明の後、理論的な背景となる分配、分離のメカニズムの説明を行う。またGCによる定性、定量についても説明する。

二番目は「キャピラリーガスクロマトグラフィーにおけるカラム、試料注入法について」で、実際の測定の要となるキャピラリーカラムとその選択、キャリヤーガス、試料注入システム(スプリット注入、スプリットレス注入、全量注入、オンカラム注入等)について順次、説明する。

三番目は「ガスクロマトグラフィーにおける試料前処理法、導入法、装置」と題して、GC本体と深いかかわりがあり、実際の測定を行っていくうえで、GCの適用範囲を大きく拡張する重要な役割を担う、各種前処理・導入装置や関連する手法について説明する。

四番目は「キャピラリーガスクロマトグラフィーにおける検出器の原理と使用法」と題し、

GCで使用される各種検出器の分類と応答特性、性能評価等について説明する。また主な検出器としてTCD,FID,TID(NPD),ECD,FPDについて原理、特徴を説明する。

五番目は「GC/MSの基礎と応用例」と題し、GC/MSの各構成要素のGC部分、イオン化部、アナライザー、検出器等の説明のほか、実際の測定手順、定性、定量の方法について説明する。また、代表的なアプリケーション例を紹介する。

最後に「マススペクトル解析の基礎」と題し、マススペクトルの見方(読み方)、解析の仕方、注意点等を実際の現場での対応に即して説明する。


2. 実習編

テーマ1では「試料注入法」について実習する。実機を用いてスプリット注入法、スプリットレス注入法、全量注入法を行い、それぞれの特徴を把握する。

テーマ2では「GCにおける分離、カラムの選択」について行う。測定したクロマトグラムから各種カラムパラメータを求める。また膜厚を変えた場合のクロマトグラムから対象成分の保持がどう変化するかを検証する。

テーマ3では「試料の前処理法」の一つとして、水道水中のフェノール類の分析について厚労省準拠のTMS誘導体化の実習を行い、GC/MSを用いて誘導体化の検証を行う。また、前処理・導入法の一つとしてP&Tを用いたVOCの簡易分析法の実習を行う。GCの検出器には感度・選択性の高いPID/ELCDを用いる。両者について順次、実習する。

テーマ4では「GC/MS」を用いた水道(水質)関連の分析で、水質農薬とカビ臭(ジェオスミンと2-MIB、SPME法)を取り上げ、各測定法の概要説明を受けたのち、標準試料、標準を添加した実際試料の測定を行い、データの解析を行う。2台の装置を用い、順次実習する。


日本分析化学会 ガスクロマトグラフィー研究懇談会

第18回キャピラリーガスクロマトグラフィー講習会開催報告


 キャピラリーガスクトマトグラフィー講習会(CGC講習会)も今年で18回目を迎え、相模原市淵野辺にある麻布大学の生命・環境学部に会場を提供頂き、8月1日から3日間に渡り開催された。3日間とも天候に恵まれ、30℃を越す真夏日の中、北はいわきから南は都城まで日本全国より26名の参加者が集った。初日は講義、2日目と3日目が実習であった。講義では保母先生よりクロマトグラムの基礎、和田先生(島津製作所)よりカラムと注入口について、安藤先生(GLサイエンス)からは固相抽出などの前処理法と試料の導入方法について、竹内先生(クロマト技研)からは様々な検出器の原理と利用法、代島先生(アジレント)にはGC/MSの基礎から応用まで、秋山先生(日本自動車研究所)からは質量スペクトル解析の基礎、と初心者から中堅者まで幅広い内容であった。実習では4〜5人ずつ5つのグループに分かれ、試料注入法、分離カラムの選択と分離の最適化、誘導体化によるGC分析法、GC/MSによる農薬分析、カビ臭などの水道水分析の実際、可搬型GCとパージトラップによる飲料水中のVOC測定の6科目を持ち回りで、実際の装置に触れながら学んだ。一昨年より、参加者にはGC懇が編集した「役に立つガスクロ分析」が教科書として配布され、活用されている。

今年度の受講生は全体的に若く、初心者も多く参加していた。先生の熱心な講義を息のかかる距離で熱心に聴き、質問をしている姿に、サポート役の先生も参戦(?)し、休憩時間も惜しんでガスクロの話に花を咲かせていた。しかし、残念なことに、本講習会の受講者数は定員の2/3程度で推移している。一方、受講者数が減ったおかげで、講師とのコミュニケーションの時間も多くなり、その理解度も深くなったようである。受講者の個人的なスキルアップだけではなく、会社や所属団体にその知識を持ち返ってもらい、所属団体全体のベースアップにつなげてもらいたい。また、参加者のネットワークを広げて分析化学やGC懇への参加も期待したい。

今回の実習では、GC懇の運営委員の会社より装置の提供と講師の派遣を行って頂いた。また、麻布大学からは会場を提供頂き多大な協力を頂いた。開催にご協力頂いた方々に紙面を借りて深謝いたします。


三菱アナリテック 杉田和俊


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