◆環境・防災◆ 生態系を脅かす有機汚染物質をバクテリアで分解する | |||||
トリクロサンやトリクロカルバンは,抗菌剤として薬用石鹸,ローション,デオドラント剤などに添加されている。これら商品の使用量は年々増加し,それに伴い抗菌剤が有機汚染物質として大量に環境水中に排出されている。凝集沈殿法は,汎用的な水浄化技術であるが,抗菌剤のような低分子量の有機汚染物質の除去に弱点を抱えていた。本研究では,分散性の水酸化アルミニウム沈殿に陰イオン界面活性剤を加えて凝集させ,有機汚染物質を捕集し,陰イオン界面活性剤を栄養源とするバクテリアを添加して分解する新技術を開発した。環境にやさしい水浄化技術として期待される。 | |||||
【Y1314】 水中有機汚染物質の迅速捕集とバクテリア分解 (名大院工)○山口正人・齋藤 徹・平出正孝 |
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洗剤,化粧品やデオドラント製品に含まれる殺菌剤や防腐剤は我々の健康を守るためには有用であるものの,微生物に対する毒性が強く,難分解性のものが多いため,有機汚染物質として環境中へ排出されると生態系への影響が強く懸念される。汎用的な水浄化技術である凝集沈殿法は重金属や汚濁物質の除去には有効であるが,低分子量の有機汚染物質の除去に関しては必ずしも効果的ではないことが指摘されている。 |
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分解がほとんど進行しなかったことから,界面活性剤が栄養源となってバクテリアを活性化させたことに加えて,捕集により汚染物質の作用が緩和されたためと考えられる。高効率かつ低環境負荷型の排水浄化技術としての実用化が期待される。 |
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