◆新素材・      現場分析が可能な小型蛍光X線分析装置の開発 
先端技術◆        

 最近、環境分析の分野では、試料の持ち運びや前処理をすることなく、その場で簡便に分析するニーズが高まっている。これに応えるため、携帯型蛍光X線分析装置の開発が進んでいる。本研究では、リング状二次ターゲットを搭載した新規光学系を有する蛍光X線分析装置の試作を行った。二次ターゲットリング外郭から発生する二次X線を、試料に対して照射し、試料から発生する蛍光X線を検出する。このように光路を同軸とすることで小型のX線プローブが実現した。環境、工業衛生や鉱業など幅広い分野への適用が期待される。

【P1015】    リング状二次ターゲットを用いた小型蛍光X線プローブの試作

            (阪市大院工1, JST-PRESTO 2) ○米原翼1・辻幸一1,2
                  
[連絡者 : 辻幸一, 電話 : 06-6605-3080]

 近年、環境分析の分野では、試料を実験室に持ち帰ることなく、現場分析のニーズが高まってきている。蛍光X線分析法 (XRF)は、試料の前処理を行うことなく、簡便かつ迅速な分析が可能であることから、環境試料のその場測定に有効な手法である。また、X線発生装置や検出器の小型化により、卓上型や携帯型のXRF装置も開発されている。一般的なXRF装置では、X線源からの一次X線を試料に照射し、試料からの蛍光X線は別方向から検出する。この配置では、装置自体が嵩高くなってしまう上、やや煩雑な光学調整が必要となる。照射X線と蛍光X線を同一軸上に配置できれば、装置は小型化されると考えられる。本研究では、より小型でかつ光学調整が容易なXRF装置の開発をめざし、照射X線と試料から発生する蛍光X線の光路を同軸にした小型蛍光X線プローブを試作した。

Fig. 1に試作した小型蛍光X線プローブ図を示す。本装置では、リング状二次ターゲットの外郭部より発生する二次X線を、試料に対して垂直に照射し、試料からの蛍光X線は二次ターゲット中央の開口部を通じて検出される。プローブ先端部はポリイミド薄膜で覆っているため、液体に直接挿入しての測定も可能である。試作した小型蛍光X線プローブはX線照射部と検出部を同一軸上に配置したことで簡便な測定が可能な上、分析対象も固体、液体を問わないので、幅広い分野での利用が期待される。