◆生活文化・ 犯罪現場に残された直径わずか20ミクロンの黒色単繊維から染料を識別する エネルギー◆ |
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衣類の単繊維は微細証拠物件として実際の鑑識現場で採取されることが多い。この直径約20ミクロンの単繊維の色調を評価するための非破壊分析法として、顕微分光光度計を用いた紫外・可視部の透過率プロファイルによる判別が行われている。しかし、黒色単繊維は透過率が低く、分析が難しかった。本研究では、拡散反射による吸光度プロファイルからの識別を試みた。その結果、ポリエステルのような繊維の同一系統黒色染料を判別することができ、さらに同じ黒色でも異なる種類の染料であることが識別可能となった。実用的科学分析法として犯罪現場遺留物件への応用が期待される。 |
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【J2010】 顕微分光光度法を用いた黒色単繊維の異同識別 (科警研)○鈴木真一・鈴木康弘 |
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犯罪現場に遺留される微細な証拠物件( Trace Physical Evidence )は,Edmond Locard の論文を端緒とした物的証拠を中心とする客観的な犯罪鑑識上,極めて重要な役割を占めている。すなわち,被害者・被疑者の接触があれば衣類の単繊維などの微細証拠物件が相互に付着する。また,被疑者などがある場所で何らかの行動を行った場合,彼等と種々の性質,例えば職業や生活範囲の推定に寄与する微細物件(例えば,微細なガラス片や溶接粒,花粉,土砂など)が遺留される。これらの微細証拠物件をもとに被疑者から採取された微細証拠物件(爪の間から採取されることもある)と被害者,あるいは犯罪現場遺留の微細証拠物件の異同を識別することにより,被疑者・被害者間の接触や犯罪現場との関連などを推定することが「微細証拠物件科学 ( Criminalistics ) 」と呼ばれ諸外国では法化学 (Forensic Chemistry)と呼称されている。 |
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