第65回分析化学討論会について

           第65回分析化学討論会実行委員長(琉球大学理学部)
大 森  保

 日本分析化学会は,産官学の研究者及び学生が9000人以上所属する世界有数の分析化学者の集まりです。毎年春には分析化学討論会を,秋には分析化学会年会を開催し,研究成果の発表を通じて会員相互の研鎮と分析化学の発展・普及に努めています。
 第65回分析化学討論会は,日本分析化学会九州支部の担当により,沖縄県の琉球大学において5月15日(土)・16日(日)の2日間開催されます(17日は見学会)。今回は,以下の4つの討論主題を中心に活発な討論が行われます。

1.海・空・島の環境分析
 様々な場所で進行する地球環境の変動は,どこまでサイエンスとして把握されたのでしょうか? 海,空,島(地域)の環境変動の実態解明のために分析手法の進歩が期待されています。環境問題に貢献する分析化学の成果の発表と意欲的な討論が行われます。

2.薬物乱用への分析化学の挑戦
 青少年の非行や犯罪と絡んで大きな社会問題となっている薬物乱用の予知・予防には,分析化学が大きな力を発揮しています。薬物乱用に挑む分析化学の現状を多方面から紹介し,問題点や今後の課題について討論します。

3.21世紀の新しい溶液化学をさぐる
 溶液の化学は,様々な化学現象を理解する基礎となっています。新しい技術や概念の導入によって溶液の分析化学がどこまで可能であるか,未来を開く溶液の分析法・分析化学について発表と討論が行われます。

4.バイオ分析化学の新潮流
 進歩の速いバイオテクノロジー分野では,従来の分析化学的手法に縛られない自由で新しい多くのアプローチが必要とされます。これからのバイオ分析の方向性について発表と討論が行われます。                         

 それ以外にも,これらの主題に基づく講演と,一般講演,ポスター講演など総計で647件の研究発表があります。この中には,分析機器メーカーなどのよる新製品・新技術を紹介するテクノレビュー講演も関連する一般講演の中で行われます。
 この冊子は,本討論会で発表される講演の中から,特に社会的に関心が強いと思われるものを選んで分かりやすく解説したものです。この冊子を通じて,日本分析化学会の活動の一端をご理解いただければ幸いです(開催日の5月15日は,沖縄の日本復帰32周年記念日でもあります)。