◆ 生活文化・       光ファイバで匂いを測る
 エネルギー◆
 光ファイバに物質が接触するとその物質の屈折率により入射した光の反射量が変化することを利用して、一般に用いられるガスセンサとは原理の異なる匂いセンサを開発した。石英光ファイバを用い、光源には安価な発光ダイオードを用いて低コスト化及び簡易化を図った。柑橘類の匂いの代表的成分のひとつであるリモネンの検出に適用したところ、応答時間は1分半であった。更に検出部のファイバ周囲の有機膜に色素をドーピングし、感応膜として用いれば色の変化で匂い成分の検出ができると期待される。
【2E03】   反射型光ファイバセンサによる柑橘類匂い成分の検出

  (大分大VBL・大分大工*)○西村聡・和才哲平*・倉内芳秋*・井上高教*・大賀一也*
   [連絡者:西村聡,E-mail:s-nishim@cc.oita-u.ac.jp]
  
 私達は匂いを感じることが出来るが,そのメカニズムは最近になって解明されてきた。匂い成分の検出はその対象が気体であるために困難であるが,半導体や水晶振動子をセンサ素子としたガスセンサが開発され,市販化されている。我々はこれらの検出原理とは全く異なる,光ファイバを用いて匂いセンサへの応用を研究した。それぞれの物質はそれぞれの屈折率をもっているが,光ファイバに接触した物質の屈折率により,光ファイバ内へ入射した光の反射量が変化することが,これまでの研究でわかった。装置図を以下に示す。“反射型”というのは図中の金属膜で入射光を反射させるからである。光源には発光ダイオード(LED)を用いた。LEDは安価であり,高出力のレーザー光よりも安全であるため、低コスト化や簡易測定に適している。直径0.5 mmの石英光ファイバ2本を束ねて二股ファイバとし,1本を光源からの光入射のために,もう1本を反射光検出のために用いた。検出部には直径1 mmの石英光ファイバを用いた。検出部に用いる光ファイバの石英クラッドを除去し,リモネンの検出を行った。リモネンは柑橘類果皮に多く含まれ,匂いを形成する代表的成分の1つである。その結果,反射光量の減少変化が観測された.
応答時間は約90 secであった。選択的にリモネンを検出するために光ファイバの表面をポリスチレンでコーティングした。同様な方法で検出した結果,反射光量の増加が観測された。光を測定原理とした場合の利点は,有機膜を感応膜として利用できることである。色素を有機膜にドーピングし感応膜として用いた場合,色変化による匂い成分の検出に応用できると期待される。
図 反射型光ファイバセンサ装置