◆環境・防災◆  水道水中のホルムアルデヒドを目視で定量
 ホルムアルデヒドには発がん性があるため、平成 16 年に水道水に基準値(0.08 ppm 以下)が制定された。公定法では高価な分析装置と煩雑な前処理操作が必要なため、より簡便で安価な分析法の開発が望まれていた。そこで、発色反応とフィルター吸着反応を組み合わせて、 0.01~0.1ppmレベルのホルムアルデヒドを目視で定量できる方法を開発した。本法では、ホルムアルデヒドの濃度に応じて、フィルターの色調が黄色−青緑色に変化するため、分析値の精度も高く、分析機器を一切使わずに極微量のホルムアルデヒドを 30 分以内に分析することができる。

【J1005*】   アルデヒド類の誘導体化/分離・濃縮法の開発と
         水道水中ホルムアルデヒドの目視定量への応用


    (富山大院理工)○村居景太・関 絵理子・岡野真弓・波多宣子・倉光英樹・田口 茂
    [連絡者:田口 茂,電話:076-445-6666]

 ホルムアルデヒド(HCHO)は,発ガン性があり,シックハウス症候群の原因として問題視されている化学物質である。平成16年度には水道水にも基準(0.08 ppm)が制定された。しかし,公定法のGC-MS法は,高価な分析装置を必要とし,また,長時間を要するたいへん煩雑な前処理操作を行わなくてはならない。
 そこで,私たちは,水中のアルデヒド類を発色させ,さらに水中から分離・濃縮する方法を検討し,現場分析も可能な,水道水中のHCHOの簡易目視定量法を開発した。
 試料水中のHCHOを青色の陽イオンに変換し,疎水性の大きな有機陰イオンを添加したのち,溶液をメンブランフィルターでろ過すると,フィルター上に色素が捕集される。その色調を目視で識別することによって,分析機器をいっさい必要とせずHCHOを定量できる。
 本法の特徴は,HCHO濃度に応じて,色調が黄色−青緑と変化する点である。これは,HCHOに由来する青色の他に,反応の副生成物である黄色の物質もフィルター上に捕集されるためである。目視定量の場合,単色の濃淡変化よりも,二色系統の変化の方が色調を識別しやすく,精度が高くなる。 HCHOの定量範囲は0.01−0.10 ppmで,水道水基準(0.08 ppm)レベルのHCHOを30分以内に精度よく簡便に分析することができる。