【1P52】 HPLC法を用いる乳幼児用飲料中のアルミニウムの測定
((株)シノテスト 相模原研究所) ○佐藤 誠、 堀内美穂、 橋本寛喜、 松田 淳
[連絡者:佐藤 誠、URL: www.chromatracer.com. E-mail: info@chromatracer.com]
【緒言】我々は、これまでに米国で実施される輸液中アルミニウムの規制1) に対応するため、注射剤に含まれるμg/Lレベルのアルミニウムを測定できる簡便な手法を東北大学と共同で開発した2)。このレベルのアルミニウムの分析には、これまで、原子吸光法、ICP-MS及びICP-AESが用いられてきたが、品質管理法としては操作性等の解決すべき課題が存在した。
本研究では、このHPLC法が、腎機能が未発達である乳幼児用に販売されているイオン飲料及びミルク等の品質管理方法として運用可能かを検討した。
【方法】本研究では食品や医薬品の品質管理方法として普及しているHPLCをそのまま用いた。実験に用いた試薬溶液は、シノテスト社製の試薬キットであるクロマトレーサーAlを一部改良して用いた。このキットは筆者らの研究に基づいて調製されている。カラムは専用のCAPCELL PAK AL(資生堂)とDevelosil Shinal(野村化学)を用いた。操作は試料と試薬を2スッテップで反応させるだけである。生成したアルミニウムと8−キノリノールの錯体をHPLCに導入して蛍光検出器を用い測定する。
【結果および考察】本報では、特に乳幼児用のイオン飲料及びミルク中のアルミニウム測定を中心に検討を行った。その結果、試験した代表的な5種類の乳幼児用飲料について前処理なしで測定可能であり、測定限界は μg/Lレベルであった。本法は、乳幼児用飲料の品質管理用ルーチン分析法として十分な感度を備えた微量アルミニウム(μg/Lレベル)測定法である。
米国では2004年7月から始まる注射剤中のアルミニウム規制1)に備えて準備が進められている。この規制は中心静脈栄養に用いる注射剤に限ったものであり、現状では食品分野に及ぶものではない。
【文献】
1) Federal Register, 68, 32979-32981 (2003).
2) 佐藤 誠、橋本寛喜、石川智幸、松田 淳、芳村 一、橋本晶夫、四ツ柳隆夫:分析化学(BUNSEKI KAGAKU),51,507 (2002).
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