環境ホルモン・ダイオキシン類のサンプリングと前処理

上山謙一郎(柴田科学(株)環境エンジ部汎用分析課)

 近年、環境ホルモン(内分泌攪乱化学物質)やダイオキシンなどごく微量の化学物質による環境汚染が問題となって来ている。これらの化学物質は、きわめて多岐にわたる他、ごく微量でも生態系などに様々な影響を与えることが懸念されおり、環境における実態の把握が求められている。一方、これらの化学物質の分析は、大気、水質、土壌、食品、生態系などきわめて広範な試料が対象になる上に、その存在量も極低濃度であり、高度な操作が要求されている。こうした分析を精度良く行うためには、サンプリングから前処理まで一貫した管理態勢が一つのキーワードと考えられる。当社では、これらの化学物質のサンプリングから前処理まで各段階における器具や装置を提供可能であり、こうした高度分析精度管理に有効と考えている。ここでは、一連の操作手順における当社製品によるシステムラインの提案を行い、今一報で自動濃縮装置の紹介を行う。
環境ホルモン・ダイオキシン類のサンプリング・前処理の流れと製品情報
(ダイオキシン類分析例・大気サンプルの場合)

各装置の詳細・特徴等はそれぞれの装置名をクリックしてください(詳細な紹介ページにリンクしています)。
サンプリング前処理
1.石英繊維濾紙を加熱処理
  マッフル炉等を利用して、600℃で6時間以上加熱処理
  [セラミックマッフル炉]

2.ポリウレタンフォームの洗浄、乾燥

  アセトンを用いて、セパラ型ソックスレー抽出器で、16〜24時間抽出洗浄
  その後、バキュームオーブンを用いて、減圧乾燥
  [ソックスレー抽出装置、 バキュームオーブン

サンプリング
大気中のダイオキシン類の採取にはハイボリュームエアサンプラーを使用。前処理を行った石英繊維濾紙を前段に、後段にポリウレタンフォームを取り付け、700〜800L/minの吸引流量で24時間以上捕集。
屋外サンプリング用[ハイボリュームエアサンプラー(ダイオキシン用)
室内サンプリング用[ハイボリュームエアサンプラー

抽  出
サンプリング後、石英繊維濾紙およびポリウレタンフォームからダイオキシン類を抽出

ソックスレー抽出装置を用いて:
 石英繊維濾紙は、16〜24時間トルエンを用いて抽出
 ポリウレタンフォームは、16〜24時間アセトンを用いて抽出
 [ソックスレー抽出装置

濃  縮
ソックスレー抽出後の溶媒を濃縮。ロータリーエバポレーター(バキュームシステムの併用が望ましい)やクデルナ・ダニッシュ濃縮装置を用いて濃縮。その後、SPC分液ロートを用いて、n-ヘキサンに転溶。
ロータリーエバポレーター
クデルナ・ダニッシュ濃縮装置
自動クデルナ・ダニッシュ濃縮装置
低温循環水槽
バキュームシステム